サントリーが市場で独自の位置を確立し続ける秘密は、「インナーブランディング」という内部戦略にあります。私たちの愛飲するあの商品も、社員一人ひとりが心を込めて支えるブランドアイデンティティによって生まれるのです。
ここでは、企業文化の深層に迫り、サントリーのイノベーションを実現するインナーブランディングについて紹介します。
サントリーのインナーブランディングとは
サントリーが展開する様々な製品は、その品質の高さだけではなく、ブランドとしての一貫した価値観や理念を通じて私たちの生活に寄り添っています。サントリーのインナーブランディングとは、企業内部においてサントリー特有の理念や価値観を共有し、従業員一人ひとりがそのブランドメッセージを体現することです。
これは、単に外向けのマーケティング戦略に止まらず、内部コミュニケーションを通じて社員の行動や意識に深く根差した文化を創出するための取り組みであります。企業が一体となって同じ方向を目指すところにサントリーの強さがあるのです。
サントリーが目指すコーポレートアイデンティティ
サントリーが目指すコーポレートアイデンティティは、質の高い商品やサービスを提供することに加え、社会に対する貢献と持続可能な発展を重視した経営理念が反映されています。これは単にビジネスを展開する上でのガイドラインとして機能するだけでなく、社内外に向けたブランドの信頼性を築くための核となるものです。
例えば、サントリーの「水育」活動は自社の水と生きる企業としての責任を、従業員にも共感してもらいながら、積極的に社会にアピールしてる一つの取り組みです。そのような一連の活動によって構築されるアイデンティティは、社員の動機付けを高め、企業文化を豊かにしていく要因となっています。
企業文化とインナーブランディングの関係性
企業文化とインナーブランディングは密接な関係にあります。企業文化は、従業員が共有する価値観や行動様式、あるいは思考の枠組みであり、これがサントリーのインナーブランディングに大きく寄与します。
たとえば、サントリーには創業以来の企業精神を象徴する「やってみなはれ」という言葉があります。この精神はリスクを恐れずにチャレンジすることを従業員に奨励し、同時にイノベーションを生み出す土壌を作っています。インナーブランディングは、このような企業文化を形成する上での中核となる概念であり、従業員が自らの行動を通してブランド価値を内面化することで、真のブランド力を育むことに繋がります。
サントリーの組織文化とインナーブランディング
企業の競争力の源泉は、その組織文化に大きく影響されます。サントリーが長年にわたりインノベーションを進めてきた背景には、独自の組織文化とインナーブランディング戦略があります。
ここではサントリーの持つ独特の組織文化を深く理解し、それがどのようにインナーブランディングに結びついているのかを解明していきます。サントリーの組織文化とインナーブランディングの関係を探ることで、他社にはない独自の価値を持つ強固なブランドを構築する方法を学んでいきましょう。
インナーブランディングが生む組織文化の強さ
サントリーにおけるインナーブランディングは、社員一人ひとりが企業の価値観やビジョンを共有し、それを体現することを目指しています。この共有された価値観は、社員の意識や行動に影響を与え、社員同士の結束力を高めることで組織文化の強化につながります。
例えば、サントリーでは「品質こそ最良の販売促進である」という考えを大事にしています。この哲学が浸透することにより、社員は一丸となって品質の高い製品づくりに励みます。また、インナーブランディングを通じて共有されるストーリーテリングは、社員が自社製品に誇りを持つきっかけとなり、ブランドへの忠誠心を醸成します。
サントリーの組織文化の特徴とその育成方法
サントリーの組織文化の特徴は、自由闊達な発言が奨励されるオープンな風土にあります。この風土は、新たなアイデアを生み出し、柔軟な思考を促す土壌を作ります。
このオープンな風土を育成するためには、上層部からの強いリーダーシップと、社員の自己成長への意欲が必要です。サントリーでは、社員教育において自主性を重視し、個々の能力開発を支援します。
また、社内でのコミュニケーションを活性化させるため、社員が気軽にアイデアを共有できる場や機会を提供しています。このようにして、サントリーは日々の業務の中で組織文化の醸成を図っています。
エンゲージメントを高める社内コミュニケーション
エンゲージメントの高い社員が多い組織は、生産性が高く、イノベーションの創出もしやすい環境があります。サントリーでは、社員が全員参画して会社を創り上げていく意識を持つことで、高いエンゲージメントを実現しています。
具体的には、全社員が参加するイベントを開催したり、部署間の垣根を越えたプロジェクトチームを設けたりしています。これにより、異なる部署の社員が交流する機会を増やし、互いの理解を深めつつ、新しい視点や発想を促します。
励みになるフィードバック文化の確立も重要であり、積極的にレビュー会議を実施して社員の成果や努力を認める体制を取ります。これらの取り組みにより、サントリーは組織文化の魅力を社内外に伝え、ブランド力をさらに強化しているのです。
インナーブランディングは文化を作る
インナーブランディングは、組織の「文化を作る」といっても過言ではありません。だから、目指す方向が固まり、組織として強くなります。
しかし、文化を作るといっても、経営層だけで進めても上手くはいきません。なぜなら、インナーブランディングは、従業員に浸透させていかなければらないからです。
これらを効率的に進めて成功させるためには、プロの手が必要です。
私たちむすび株式会社も、多くの会社のインナーブランディングをサポートしてきました。以下に弊社の事例を解説しておりますので、ぜひそちらも参考にしてください。
深澤 了 Ryo Fukasawa
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター
2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。2015年早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン、フランス、ミラノで6度金賞受賞。制作者としての実績はFCC(福岡コピーライターズクラブ)賞、日本BtoB広告賞金賞、山梨広告賞協会賞など。雑誌・書籍掲載、連載多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても”光る人材”が集まる 採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。「どんな会社でもできるインナー・ブランディング まず教育、そして採用、業績アップ。鉄板の好循環をつくる」(セルバ出版)。