インナーブランディングは採用時点から取り入れるべきです。「インナーブランディングだけ」や「採用ブランディングだけ」よりも、圧倒的に効果が出るからです。
しかし、なかには以下のように考える企業もあるでしょう。
- 「インナーブランディングか採用ブランディングどちらか一方だけ」
- 「ブランディング自体そもそもわからない」
- 「社外へのブランディングはやっている」
今回は、なぜインナーブランディングと採用ブランディングを組み合わるべきなのかについて、解説します。
ブランディングを行っていない+採用ブランディング
結論から言えば、採用ブランディングから始めるのであれば、ブランディングに対しての活動を何もしていなくても良いです。
このような企業のほとんどは「ブランディングはよくわからないからやっていない」「うちにはブランディングはまだ早い」と考えているかもしれませんが、だから、採用ブランディングから始めると良いのです。
採用ブランディングから始めれば、短期間で結果が出ます。企業や商品のブランディングには時間がかかりますが、採用ブランディングであれば1年以内には結果が出ます。
これは、弊社が採用ブランディングを手掛けてきた企業のデータを見ても明らかです。
採用ブランディングと合わせてインナーブランディングも意識しないとミスマッチが起きる
ブランディングに関して何もしてこなかった企業が採用ブランディングを行う際には、一点だけ注意すべきポイントがあります。
採用ブランディングだけを行ってしまうと、就職希望者がいざ入社したときに、ミスマッチが起きてしまう可能性があるのです。就職希望者が企業の理念に共感して入社しても、元々働いている人達が「理念?意識したことないよ」となってしまうと、価値観のズレが起きてしまいます。
ここでミスマッチしてしまうと早期離職に繋がってしまうので、インナーブランディングも行うべきなのです。
社外に対してのブランディング+採用ブランディング
社内ではなく、社外に向けたブランディングを行っている企業と採用ブランディングは、ミスマッチの危険性が高まります。
社外に対してのブランディングを行っているということは、プロモーション活動を行っている段階です。そのため、就職希望者は企業の名前は知っているかもしれません。ただ、それだけにその企業に対してのイメージが強いと考えられます。
さらに採用ブランディングを行うことで、企業の理念については、強くアピールできるでしょう。
しかし、インナーブランディングなしで進んでしまうと、社内へ理念浸透が進んでいないために大きなミスマッチが起きてしまいます。
企業のブランディングに興味を持ち、理念に興味を持って入社してきたにも関わらず、社内の人間が誰も理念について語れなかったらどうでしょうか?確実にモチベーションが下がってしまうでしょう。
そのため、社外に向けたブランディングだけではなく、社内に向けたインナーブランディングも行っておくべくなのです。
インナーブランディング+採用ブランディング
インナーブランディングを行っている企業が採用ブランディングを行うのは、とても良い形といえます。
インナーブランディングを実施しているということは、企業の方向性を揃えようとしている姿勢があるからです。そこに採用ブランディングを入れれば、社外に向けても企業の方向性や理念をしっかりと見せられるようになります。
また、当然社内にも理念が浸透しているので、新入社員のミスマッチ起きません。かつ、入社してくるのは理念に共感している人なので、社内の文化に慣れるスピードも速いです。
だから弊社では「インナーブランディングを採用からやるべき」と伝えています。
最も危険なインナーブランディングも採用ブランディングも実施していないケース
最も危険なのは、インナーブランディングを含むブランディング活動を全くせず、採用ブランディングも実施していない企業です。
インナーブランディングにおいても採用ブランディングにおいても、中心には理念があります。しかし、いずれも行っていないということは、中心となる軸がない状態なのです。
そのままの形で進んでしまうと、企業としての段階が変わるごとに無数にある打ち手から都度成功法則を見つけていくような、手間も時間もかかるマーケティングや営業方法になってしまいます。インナーブランディングや採用ブランディングの場合は、すべて理念に沿って考えていくので、必然的に打ち手は決まります。
また、当然ながら理念の浸透も行われていないので、新入社員のミスマッチは起きますし、企業にとって求める人物に自社を選んでもらえる可能性も低くなります。
インナーブランディングを採用活動から
今回はあえてインナーブランディングと採用ブランディングに分けて解説しましたが、弊社では採用活動からインナーブランディングとして考えるべきとしています。
この考えで進めていけば、これまでブランディング活動を何もやってこなかった企業でも、インナーブランディングと採用ブランディングを実施でき、企業の成長に役立ちます。
「採用のための採用ブランディング」「社内のためのインナーブランディング」と分けて考えずに、両方があってより効果的なインナーブランディングになると考えてください。
深澤 了 Ryo Fukasawa
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター
2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。2015年早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン、フランス、ミラノで6度金賞受賞。制作者としての実績はFCC(福岡コピーライターズクラブ)賞、日本BtoB広告賞金賞、山梨広告賞協会賞など。雑誌・書籍掲載、連載多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても”光る人材”が集まる 採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。