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レポート

2024.05.09

インナーブランディング実践手法とは?社内コミットメント強化

企業の魂を内側から輝かせるインナーブランディング。それはただの理念ではなく、強固な社内コミットメントを築く実践的手法です。しかし、どのようにして社員一人ひとりの「なぜ」に火をつけ、企業価値を高めていけるのでしょうか?

この記事では、インナーブランディングを成功に導く為の具体的ステップを「経営理念とバリューの明確化」や「バリュー体現のための教育プログラム」を通して、わかりやすく解説します。

インナーブランディング実施の第一歩

ンナーブランディング実施の第一歩

企業にとってインナーブランディングは、外に向けたブランディングと同じく、非常に重要です。これは社員が共感し、体現する企業の価値観を内部に根付かせることで、社員のモチベーション向上や一体感を醸成し、結果的には外部の顧客に対してもその価値を伝えることに繋がります。

インナーブランディングを始めるためには、何から手をつけるべきでしょうか。その第一歩として、企業の経営理念やバリューを明確にし、社員一人一人が理解し共有することが求められます。また、これらを社内文化に落とし込むための具体的な計画を策定することが不可欠です。

経営理念とバリューの明確化

経営理念とは、企業が事業活動を通じて実現したい社会的な価値や目的、存在意義を示すものです。これを社員が深く理解し、共感することがインナーブランディングの要となります。

そのため、経営層からの繰り返しのメッセージングは非常に重要で、意思疎通を図るための施策が求められます。また、企業の理念に基づく行動指針や価値観を体現する「バリュー」も、具体的かつ実践的なものでなければなりません。

これらの明確化は、社内でのワークショップやセミナーを開催することで、社員の参画を促し、共有理解を深めることができます。理念やバリューを文書にまとめるだけでなく、日常業務の中で示すべき行動や判断基準などについても整理し、全社で共有することが必要でしょう。

ブランドイメージと社内文化の整合性

外部に伝える企業のブランドイメージと、社員が日々感じる社内文化との整合性はインナーブランディングにとって不可欠な要素です。例えば、お客様を大切にするというブランドイメージにもかかわらず、実際の社内文化では社員同士が協助し合わないなどチームワークが欠けていると、ブランドイメージは崩れてしまい、信頼を失うことにつながります。

こうしたギャップをなくすためには、社内の風土や価値観を再評価し、必要に応じて改善を行う必要があります。社員がブランドの価値を体現しやすいような環境を整え、企業のブランドビジョンと一致するような行動を促進する施策が求められるでしょう。

インナーブランディング計画の策定

インナーブランディングの実践において、具体的な計画の策定は非常に重要です。企業の目標とするバリューや文化を、どのように具現化するかの明確なロードマップが必要です。それには、経営層だけでなく、各部門のリーダーも巻き込むことで、多角的な視点でのプランニングを得られます。

計画には、社内コミュニケーションの強化、教育プログラムの導入、業瑾評価システムの見直しなど、多岐にわたる施策を含めるべきです。また、計画は一度きりでなく、市場の変遷や社員の意識の変化を踏まえ、定期的な見直しを行うことで、柔軟かつ持続的なブランディングを実現し、社内外にその真価を示していくことに繋がります。

従業員のバリュー体現を実現するために

員のバリュー体現を実現するために

企業のインナーブランディングでは、ただ単に経営理念を掲げたり社内にポスターを貼るだけでなく、実際に従業員の行動や思考に反映される「バリュー体現」が求められます。これは、従業員一人ひとりが企業の価値観や信条を理解し、肯定し、そして行動に移すことを意味します。

このとき大切なのは、バリューをただ押し付けるのではなく、社員自らが納得し、自発的に行動を変えていけるような環境を作ることです。また、それを実現するためには日常業務の中にそれらを自然に取り込んでいくことが重要となります。企業文化を体現するために、具体的な方針やプログラムの設定が不可欠であるのです。

バリュー体現のための教育プログラム

社員が企業バリューを体現するためには、まずそれをしっかりと理解し、身につける必要があります。このために導入されるのが、教育プログラムです。教育プログラムでは、企業理念やバリューを明確にするワークショップを定期的に開催し、社員がそれを体系的に学べるようにします。

また、ロールプレイングやグループディスカッションを通じて、実際の業務シーンで企業バリューをどのように実践するかを検討し、具体的な行動指針を共有します。教育プログラムを通じて、社員個人が企業バリューを自分事として捉え、それを業務に活かすことができるようになることが期待されています。

さらに、教育プログラムは新しい社員が入社した際にもオリエンテーションの一環として行われ、継続的な学びが生み出されるようになっています。

社員の「なぜ」を理解するインナーコミュニケーション

インナーブランディングを成功させるためには、各社員が持つ「なぜこの企業で働くのか」「なぜこの価値観を大切にするのか」という根源的な動機を理解し共有することが重要です。これを実現するための一つの手法がインナーコミュニケーションです。

これは、日常的に社員同士が対話を交わすことによって、お互いの価値観やモチベーションについて深く知り合い、理解を深めていくプロセスです。

例えば、定期的に開かれる社内ミーティングで、各自の ‘なぜ’ を話し合う時間を設けることで、個々の信念や組織に対するコミットメントを可視化することができます。これにより、社員一人ひとりが自身の役割に誇りを持ち、モチベーションを高めることに繋がります。また企業としても社員の真の動機を理解することで、適切な施策を立案しやすくなるのです。

モチベーション向上を目指した活動

モチベーション向上を目指した活動

モチベーションの向上は、個人の生産性を高めるだけでなく、組織全体のパフォーマンス向上に大きく寄与します。インナーブランディングとは、企業が自己のアイデンティティや理念を社員に浸透させ、一体感や帰属意識を醸成することです。

このプロセスを通じて、従業員は自社のバリューや目指すべき方向性を明確に理解し、自身の仕事に対するモチベーションを向上させる機会を得るのです。しかし、これは一朝一夕に実現されるものではありません。組織全体で継続的な活動を推進することが大切なのです。

理念浸透を加速的に進める方法については、以下の記事で解説しておりますのでそちらも参考にしてください。

深澤 了 Ryo Fukasawa
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター

2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。2015年早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン、フランス、ミラノで6度金賞受賞。制作者としての実績はFCC(福岡コピーライターズクラブ)賞、日本BtoB広告賞金賞、山梨広告賞協会賞など。雑誌・書籍掲載、連載多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても”光る人材”が集まる 採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。「どんな会社でもできるインナー・ブランディング まず教育、そして採用、業績アップ。鉄板の好循環をつくる」(セルバ出版)。

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