「インナーブランディング」という言葉や意味を知っている企業は多くあります。しかし、実際に「インナーブランディングをなぜやるのか」まで理解して積極的に取り組んでいる企業は少ないでしょう。
これは、インナーブランディングについて深くまで理解できていないために、重要性を感じられていないからだと考えられます。
そこで今回は、改めてむすび株式会社の知見から「インナーブランディング」について解説します。
インナーブランディングとは
インナーブランディングとは、企業・事業・商品・サービスなどのブランディングのなかにあるものです。それぞれを進めていくなかで、社内で進めていくものがインナーブランディングと言えます。
世の中に知れ渡っているように「ビジョン・ミッション・バリューの浸透」の意味はありますが、会社のどの部分に浸透させていくか、どのように浸透させていくか、を考えて進めなければいけません。
たとえば、飲食店の場合であれば、会社全体で行うのか、特定のブランドで行うのかによってもインナーブランディングの進め方は異なります。
また、飲食店の場合であれば、社員・アルバイト・パートにまで浸透させていかなければいけません。
このような取り組みすべてが、インナーブランディングです。
インナーブランディングは経営そのもの
インナーブランディングをなぜ行うべきなのか?と問われれば、経営そのものだからです。
飲食店の例であれば、ビジョン・ミッション・バリューを社員はもちろん、アルバイト・パートまでが覚え、理解し、実践できるようにしなければいけません。すなわち、組織を作ることと言えます。
そして、組織を作るというのは売上利益を上げることですから、経営そのものと言えるのです。
インナーブランディングが組織作りを効率化させる
多くの企業はどのようの組織を作っていくべきか、どのように育成するべきかと頭を抱えています。
そこで組織作りや育成を効率的に進められるのが、インナーブランディングなのです。
社員育成のために「〇×研修を実施しよう」とコンサルティング会社などに依頼してしまうケースもありますが、外部研修はビジョン・ミッション・バリューに紐づいていません。そのため、ブランドとしての統一感が生まれないのです。
また、「ブランドの統一」においても、インナーブランディングがとても重要になります。
たとえば、飲食店で「プロの料理人」といったようなビジョンがあるとした場合、現場スタッフから「ホールには関係ないのではないか?」と思われてしまいます。しかし、インナーブランディングによりビジョン・ミッション・バリューが浸透していれば「なぜこのビジョンなのか?」「なぜ料理人にフォーカスしているのか」「ホールも重要な要素である」と現場レベルで説明できるようになるのです。
インナーブランディングではないやり方では、このようなマイナス部分に蓋をして見てみないフリをしてしまい、不満が出てしまいます。しかし、インナーブランディングを行うことで、より統一感のあるブランド、つまり、組織が出来上がっていくのです。
◆ケーススタディ
むすび株式会社でリブランディング・プロジェクトを行っている某飲食店では、取り組みを始めてから広告宣伝費が大幅に削減され、営業利益率が大幅に改善されました。
この飲食店では、各店舗の店長だけではなく、社員にまでビジョン・ミッション・バリューが浸透しており、個々が理解した上で行動に落とし込んでいます。
マネジメントがある上でブランドを作っていったのではなく、ブランドでマネジメントしたと言えるでしょう。
インナーブランディングとマネジメントとの違い
インナーブランディングとマネジメントの違いは明確です。
単純に「マネジメント」という観点では、とかく研修会社を入れたりコンサルを入れたりする施策になります。比較的、受動的な施策と言えるでしょう。また責任者だけがどうにかしようと考えがちです。上からどうやって組織を動かしていこうか、と一方通行になってしまいがち。
対して、インナーブランディングは、自社が理解して個々で行動していくものです。そのため、個々の実力もありがりますし、浸透すればするほど動きが良くなり、結果的に売り上げに繋がっていきます。
なぜインナーブランディングが採用と繋がるのか?
インナーブランディングと採用の関係性は、いずれも「理念」にあります。
私たちむすび株式会社の採用ブランディングでは「理念共感」を最も大事にしています。
しかし、理念共感で入社しても社内に理念が浸透していなければ、ミスマッチが起きてしまいます。
そのために、採用活動を行う時点から、インナーブランディングができている状態でなければいけないのです。
インナーブランディングも採用も共通軸は「理念」
インナーブランディングにおいても採用においても、共通する重要な部分は「理念」にあります。
インナーブランディングであれば「理念浸透」、採用であれば「理念共感」。
採用・組織作り、育成・経営、いずれにおいても、まずは理念から考えていくべきです。
ぜひ、これから組織をもっと強くしていこうと考えているのであれば、理念共感・理念浸透の観点から考えてみてください。
深澤 了 Ryo Fukasawa
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター
2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。2015年早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン、フランスで5度金賞受賞。制作者としての実績はFCC(福岡コピーライターズクラブ)賞、日本BtoB広告賞金賞、山梨広告賞協会賞など。雑誌・書籍掲載、連載多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても”光る人材”が集まる 採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。