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2023.06.27

採用ブランディングの戦略・戦術を作るフレームワーク全9工程|④~⑤ペルソナ

採用ブランディングの戦略・戦術を作るフレームワーク全9工程|④~⑤ペルソナ

前回の記事で、採用ブランディング・プロジェクトの戦略・戦術を作るフレームワーク①~③について解説しました。

今回も、私、深澤了の著書「知名度が低くても〝光る人材〟が集まる 採用ブランディング 完全版」(WAVE出版)から、21の法則のなかから、重要な9工程の④~⑤について解説します。

 

④どんな価値観を持った人を採用するかを決める

前回の「課題・強み・弱み」の整理ができたら、採用基準を決めていきます。

ここでいう「採用基準」は、要件やスキル・スペックではありません。多くの企業は「採用基準」というと能力で決めようとしてしまいますが、大事なのはその人の価値観と自社の価値観がマッチするかです。

前職で能力が高かった人が力を発揮できずに退職してしまうなどのケースがあるのは、価値観や文化とマッチしていないために起こります。

例えば、資料を作成するだけでも、以下の2つが考えられます。

  • 綿密な資料を作成することが良いとされる企業
  • 綿密でなくても良いからわかりやすくスピード感を重視してほしい企業

同じ「資料作成」でも会社の文化によってこれだけの違いがあります。そのため、もし前者の資料作成能力が高い場合、後者の企業ではそのスキルを発揮できないのです。

だから、まずは価値観がマッチするかどうかを重視して決めていかなければいけません。これが、私たちの採用ブランディング・プロジェクトの採用基準です。採用基準だと混乱してしまう場合もあるので、「ほしい人物像の資質」と言い換えたりもします。

 

⑤MUST要件・WANT要件を土台に超理想のペルソナを作る

マスト要件・ウォント要件を土台に超理想のペルソナを作る

④の採用基準がある程度決まったら、MUST要件とWANT要件を決めてきます。

このときに注意しなければならないのは、MUSTが多すぎたり少なすぎたり、反対にWANTが多すぎたり少なすぎたり、極端にならないようにすることです。

とくにMUST要件の数は注意しなければいけません。MUSTの数が多ければ多いほど採用基準をあげ、自分達で首を絞めている形になります。反対に、MUST要件が少なすぎるとミスマッチを誘発する原因になります。

企業によって異なりますが、新卒であれば3個~5個、中途であれば5個~7個が妥当です。

 

ペルソナは理想ではなく“超”理想

私たちの採用ブランディング・プロジェクトでは、ペルソナを超理想に設定します。

多くの採用に関わる企業では「非現実的なペルソナはやめましょう」と言われますが、私たちはその反対です。

これは、そもそも「ターゲティング」についての考え方を改めなければいけません。

ペルソナというのは、究極のターゲティングです。では、ターゲティングはなんのために行うか、というと「誰にどのように伝えるかを決める」ためになります。
これにより、ターゲットに合った人に対してピンポイントに深く刺さるメッセージができあがります。つまり、メッセージの到達速度や精度を高めるのです。

イノベーター理論においても、上位16%の人に好かれればその後は、さまざまな人に受け入れられ、ブランドが長続きすると定義されています。

また、集団のオピニオンリーダーに到達すると、ブランドが長続きしやすい、とされています。

上記のマーケティングの考えを基にすると、やはりペルソナは超理想である方が良いと考えられます。

噛み砕いて説明するならば、「自社を好きなインフルエンサー」をペルソナに設定するか「自社を好きな一般消費者」にペルソナを設定するかという話です。

もしここで、平均的な人にペルソナを設定してしまうと、ターゲットは実は狭まってしまいます。また「平均的」や「普通」などは、そもそも「平均・普通」の再定義の議論になってしまうので、絶対に避けるべきです。

 

超理想のぺルソナが作り出す効果

超理想のペルソナを作ると、「誰にどのように何を伝えるか」が決まります。だからこそ、デザインやメッセージが尖り、目立つようになるのです。そして、人も集まってきます。

一番良くないのは、誰にでもわかるけど誰にも響かないメッセージです。求職者にとって就職というのは人生が関わってくるものなので、深く刺さらないと意味がありません。

ただ、ここで勘違いしてしまわないように気を付けたいのが、超理想のペルソナを作っても、そのペルソナにすべて当てはまる人を採用しなければならないわけではありません。一つでもプロフィールが合致すれば良いのです。

超理想のペルソナの中にMARCH出身という項目があれば、ほかの部分が当てはまらなくともMARCH出身が合致していれば口説いていきます。スポーツ系の部活を〇年やっていたという項目だけでも合致すれば、その人を口説いていくのです。

これは、超理想のペルソナを作らなければできないことです。

 

超理想のペルソナを作る上で重要なインサイト

超理想のペルソナを作る際には、そのペルソナが何を重視して採用活動をおこなっているのかインサイトを3つ決めます。

このとき大事なのは、給料や休日などの待遇面ではない部分で考えることです。

多くの企業は「給料」や「休日」で考えてしまいやすいですが、そもそも、給料や休みを最も重視する人に入社してほしい企業は少ないはず。

あくまで超理想のペルソナなので、入社してほしくない人のインサイトを考えても意味がありません

「社長との相性」や「学んだことが発揮できる」などの部分をインサイトして考えていきます。

 

採用基準・ペルソナがキーポイント

採用基準・ペルソナがキーポイント

採用ブランディング・プロジェクトのなかでも、今回解説した「採用基準」「ペルソナ」の2つは、ほかで記述されている採用ブランディングと異なる部分です。

しかし、これは奇をてらうわけではなく、マーケティング理論に沿った方法です。

私たち、むすび株式会社は、決してセンスやイメージだけで採用ブランディング・プロジェクトを進めているわけではありません。やり方からこれまでの成果まで、すべてデータや理論を基に構築しています。

だから、採用を成功に導けるのです。

これまでの採用活動で上手くいかなかった企業はもちろん、過去に採用ブランディングが上手くいかなかった企業も、ぜひ一度弊社にご相談ください。

  

    

 

深澤 了 Ryo Fukasawa
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター

2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。2015年早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン、フランスで5度金賞受賞。制作者としての実績はFCC(福岡コピーライターズクラブ)賞、日本BtoB広告賞金賞、山梨広告賞協会賞など。雑誌・書籍掲載、連載多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても”光る人材”が集まる 採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。

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