採用ブランディング・プログラムでは、全9工程に分けて自社独自の戦略・戦術を作っていきます。
むすび株式会社 『深澤 了』著書の「知名度が低くても〝光る人材〟が集まる 採用ブランディング 完全版」では、21の法則として解説していますが、今回はそのなかでも重要な9工程を解説します。
①課題の整理
まずは自社の課題を整理していきます。
ここで重要なのは、人事担当が抱える課題だけではなく、採用に関わるチーム内で課題を整理することです。
基本的にどの会社も、人事担当が認識している課題と人事以外が認識している課題というのは異なります。
例えば、求める人物像の課題感で、人事は自頭の高い人、現場はコミュニケーション力の高い人を求めているとします。このような課題の認識のズレが起きてしまうと、ペルソナ作りが停滞してしまい、議論が前に進みません。
「課題をすり合わせる」だけでなく、「人事が何を考えているか?」「現場が何を考えているか?」をお互いに理解しあう必要があるのです。
多くの企業は、課題の認識をしないままホームページの作成などのクリエイティブに手を出してしまいますが、課題の認識あってこそのクリエイティブです。課題が整理されていないと、どのように進めていくべきか迷走してしまいます。
そのため、むすび株式会社では、採用ブランディング・プロジェクトを進めるにあたり、必ず現場で活躍していいる人材または採用したら配属されるであろう部署の人材をチームに入れています。
②強みの整理
2つ目の工程は、ブランディングの基本である「強みの整理」です。
いかに自社の強みを発揮できる土壌を見つけられるか、発揮できるかが重要になります。
そのため、企業は自分達の強みを認識しなければいけません。
強みを見つけていく方法は、採用ブランディング・プロジェクトに関わっているチーム全体で、自社の強みを挙げていきます。ほとんどのケースでは、1つの企業で20~30個ほどの強みが出てきくるので、そこから最終的に3つまで絞り込みます。
まれに「うちには強みがない」と弱気になってしまう会社もありますが、深掘りしていけば必ず10個程度の強みは出てきます。
強みの見つけ方については、以下の記事でも解説しているので参考にしてください。
③弱みの整理
強みを整理したら、弱みも整理しなければいけません。
自社の弱みを認識していなければ、求職者にネガティブな情報を与えかねないからです。
「あえて弱みについて聞いてくる求職者なんているのか?」と思う人もいるかもしれませんが、まれに発生するからこそ、準備しておかなければいけません。
自社の弱みが悪く伝わってしまうケース
前提として、ホームページなど外部のイメージだけで入社を決める人はいません。必ず、面接・説明会などの工程を経て、実際に企業と触れてから入社を検討するでしょう。
その際に、新卒の先輩社員と志望者の間で会話が生まれ「御社の課題や働きにくいと感じる部分はどこですか?」と聞かれるケースがあるのです。
この時に、自社の弱みやその対応をしっかり認識していないと「うちは残業が多い」「うちは希望の休みがとりづらい」とだけ話してしまう可能性があり、志望者には悪いイメージだけが残ってしまいます。その前にどれだけ企業の良い部分を伝えていたとしても、悪いイメージというのは容易に覆します。
弱みの整理でネガティブイメージを払拭できる
上記のようなケースで、志望者に対して「弱みを伝えない」というのは正しい選択とは言えません。大事なのは、弱みを伝えた上で対策を伝えることです。
例えば、残業が多い会社の場合であれば「うちの会社は残業が多いところがある。しかし、今後残業を減らせるように、このような対策をとっている」と伝えます。
このようなポジティブな回答をするためには、弱みの整理をしなければいけません。とくに、説明会やイベントなどの直接接点が多い場では、この対応が重要です。
ほとんどの企業は強みの整理まで行って弱みの整理までは行いませんが、自社の弱みを知るというのは、とても重要な部分なのです。
採用ブランディング・プロジェクトは「整理」と「認識」から
今回は、採用ブランディング・プログラムで重要なフレームワークとして、以下の3つを解説しました。
- 課題の整理
- 強みの整理
- 弱みの整理
上記からもわかるように、次の議論に進むためには「整理」と「認識」から始めなければいけません。
この時点で一部が曖昧なままになってしまうと、必ずどこかで議論につまづいたり、自社にとって腹落ちしない流れになったりしてしまいます。
自社が納得した形で採用活動を進めるためにも、まずはそれぞれを整理していきましょう。
しかし、課題・強み・弱み、いずれも自社で客観的に見つけていくのは難しいですし、もしできたとしても時間がかかります。
だからこそ、ぜひ採用ブランディングは、私たちむすび株式会社にご相談ください。
深澤 了 Ryo Fukasawa
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター
2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。2015年早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン、フランスで5度金賞受賞。制作者としての実績はFCC(福岡コピーライターズクラブ)賞、日本BtoB広告賞金賞、山梨広告賞協会賞など。雑誌・書籍掲載、連載多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても”光る人材”が集まる 採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。