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2025.04.01

優秀な人材を採用するには?企業が見直すべき採用戦略とブランディングの視点

優秀な人材を採用するには?

「優秀な人材を採用したい」と考える企業は多いですが、思うように集まらないと感じている方も多いのではないでしょうか。実際、求人広告を出しても反響が薄い、面接に来るのは希望と異なる層ばかりといった悩みは、大小問わず多くの企業が抱えています。

採用市場では、働き方や企業選びの基準が大きく変わりつつあります。特に優秀な人材ほど、企業を選ぶ目が厳しくなっており、「給料」や「福利厚生」だけでは心を動かせない時代です。

本記事では、優秀な人材を採用するために企業が見直すべき考え方やアプローチ方法を解説します。

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優秀な人材を採用するには、採用の考え方自体を見直す必要がある

従来の「求人を出せば集まる」採用は、もはや通用しなくなりつつあります。特に優秀な人材ほど、企業を選ぶ目が厳しく、情報収集も積極的です。だからこそ、企業側も採用活動そのものをアップデートする必要があります。

以下では、なぜ優秀な人材の採用が難しいのか、そして今の採用にどんな見直しが求められているのかを解説していきます。

優秀な人材が「企業を選ぶ時代」になった背景

現在の採用市場では、優秀な人材ほど「企業から選ばれる側」ではなく「企業を選ぶ側」にシフトしています。転職情報が簡単に得られ、副業やリモートワークなど多様な働き方も広がる中で、自分に合った職場を慎重に見極める人が増えているためです。

たとえば、求職者は企業の理念や社風、成長機会を重要視し、「ただ条件が良い」だけでは応募には至りません。このように、選ばれるための視点が企業側にも求められています。

従来の採用手法ではアプローチできない理由

従来の採用方法は、多くの場合「求人票ありき」で始まりますが、このやり方では優秀な人材に響きません。理由は、彼らがまず情報を「比較」し、「共感」できる企業にしかアクションを起こさないからです。

たとえば、仕事内容や条件の羅列だけでは差別化が難しく、「この会社で働きたい」と感じてもらうことができません。優秀な人材ほど、企業の考え方やビジョン、社会的な意義といった“定性的な価値”に注目しています。

「優秀な人材」とは何かを定義し、自社に合った人材像を明確にする

「優秀な人材を採用したい」と考えるとき、まず必要なのは「自社にとっての優秀さとは何か」を言語化することです。スキルが高い人=優秀という思い込みでは、採用後のミスマッチが起こりやすくなります。

以下では、優秀な人材の定義が企業ごとに異なる理由と、その人材像をどう設計すべきかについて解説します。

企業によって「優秀な人材」の基準は異なる

優秀な人材の定義は、業種や企業のフェーズによってまったく異なります。たとえば、スタートアップでは「変化に柔軟で自走できる人」が重宝されますが、大手企業では「組織のルールを理解し、調整役になれる人材」が優秀とされることもあります。

つまり、一律の定義ではなく、自社のビジネスモデルや組織文化にフィットする人こそが「本当に優秀な人材」と言えます。そのため、まずは社内でその定義をすり合わせることが重要です。

スキルだけでなく、価値観・行動特性の整理が必要

スキルや経験は見えやすい要素ですが、長期的な活躍には価値観や行動特性の一致が欠かせません。たとえば、スキルは高いものの指示待ちの姿勢が強い人が、裁量の大きい環境ではうまくいかないケースがあります。

逆に、経験は浅くても「自分で考えて動ける」人は、急成長することも少なくありません。採用活動では、こうした“目に見えにくい資質”に焦点を当て、自社にフィットするかを見極めることが求められます。

採用基準を言語化することでミスマッチを防げる

優秀な人材を確保するには、企業が持つ採用基準をあいまいにしないことが大切です。面接ごとに評価軸がブレてしまうと、結果として「なんとなく良さそうな人」を採用してしまい、入社後のミスマッチにつながります。

そこで、事前に「求める人物像」「重視する能力・姿勢」を明文化し、チーム全体で共有することが効果的です。基準が明確であれば、選考もスムーズになり、採用の質が大きく向上します。

優秀な人材を惹きつけるには、接点の設計と情報発信

優秀な人材を惹きつけるには、接点の設計と情報発信

優秀な人材と出会うためには、求人情報をただ発信するだけでは不十分です。求職者との接点をどこで、どのように作るか。そしてその接点で、どのような情報を届けるかが採用成功の鍵を握ります。

以下では、接点の設計と発信内容の工夫について、具体的に解説していきます。

求職者との接点を戦略的に設計する

優秀な人材は常に転職活動をしているとは限りません。そのため、求人サイト以外の接点づくりが重要になります。

たとえば、自社のSNSアカウントやオウンドメディアでの情報発信、業界イベントやウェビナーの開催などが効果的です。

接点を増やすことで、求職者が企業に興味を持つ“きっかけ”を提供できます。採用は「待ちの姿勢」から「出会いの設計」へと発想を転換することが求められています。

初期接点での「信頼構築」が選ばれる鍵になる

せっかく接点ができても、第一印象で信頼されなければ選ばれません。たとえば、採用サイトに掲載されている情報が古かったり、社員の顔が見えないようなページ構成では、魅力が伝わらないだけでなく、不安感を与えることもあります。

逆に、実際に働く人の声や、職場の雰囲気が伝わる写真・動画などがあると、親近感が湧き、企業理解も深まります。信頼は、採用の最初の一歩を踏み出してもらうための必須要素です。

採用ブランディングは、優秀な人材に「選ばれる企業」になるための戦略

優秀な人材に選ばれる企業になるには、自社の魅力を整理し、一貫して伝える仕組みが欠かせません。こうした取り組みを体系的に進めるのが「採用ブランディング」です。

以下では、採用ブランディングがなぜ効果的なのか、どのように始めるべきかを解説していきます。

採用ブランディングが優秀な人材に届く理由

採用ブランディングとは、企業が「どんな人と働きたいか」「どんな価値を社会に提供しているか」を整理し、外部に伝えていく活動です。特に優秀な人材は、仕事内容だけでなく「どんな企業で働くか」「どんな人と働くか」を重視します。

そのため、採用広報を通じて会社の文化や価値観を伝えることは、候補者との共感を生み出す重要なステップになります。言い換えれば、採用ブランディングは“無言の面接”とも言える存在です。

共感を生むメッセージとコンテンツの作り方

効果的なブランディングには、自社ならではの言葉とストーリーが必要です。たとえば、「大企業にはない裁量権がある」「地方からでも全国を相手に仕事ができる」といった具体的な魅力を、社員のインタビューや働く風景などを交えて伝えることで、よりリアルな印象を与えられます。

採用サイトやSNSを活用し、継続的に発信していくことで、求職者との信頼関係も自然と育っていきます。

一貫性と社内浸透が信頼性を高める

採用ブランディングが成功するためには、発信するメッセージと社内の実態が一致していることが欠かせません。表面上だけ取り繕っても、入社後に「聞いていた話と違う」となれば、早期離職につながります。

そのため、社内で共通の価値観を育て、それを基にしたメッセージを発信することが大切です。一貫性のあるブランドは、求職者からの信頼を獲得しやすく、企業としての魅力も長期的に高まっていきます。

優秀な人材に選ばれる企業になるために採用のあり方を見直す

優秀な人材を採用するには、求人の出し方だけでなく、企業としてのあり方を問い直す必要があります。まずは自社にとっての「優秀な人材像」を明確にし、戦略的に接点をつくり、信頼される情報発信を行うこと。そしてその先に、「この企業で働きたい」と思ってもらえるような採用ブランディングが重要な役割を果たします。

弊社のインナーブランディング事例はこちらをご確認ください。】

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深澤 了 Ryo Fukasawa
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター

2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。2015年早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン、フランス、ミラノで6度金賞受賞。制作者としての実績はFCC(福岡コピーライターズクラブ)賞、日本BtoB広告賞金賞、山梨広告賞協会賞など。雑誌・書籍掲載、連載多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても“光る人材“が集まる 採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。「どんな会社でもできるインナーブランディング」(セルバ出版)。「人が集まる中小企業の経営者が実践しているすごい戦略 採用ブランディング」(WAVE出版)

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