「採用ブランディング」と聞くと、ブランディングのイメージから、長期間の取り組みだと考える企業も多いでしょう。
しかし、採用ブランディングは短期で効果出ていくものです。
私たちが実際に実行してきたプロジェクトにおいても、短期間において結果を出しています。
では「どの位の期間で効果が出るのか?」「なぜ採用ブランディングには即効性があるのか?」について、今回は解説していきます。
採用ブランディングの効果を感じられる最短期間
採用ブランディングは、ほぼ例外なく、短期的に効果を感じられます。
ここでいう「短期」について、むすび株式会社では、実行してから1年以内としています。
とくに成功する会社の場合は、実行してから、中途であれば1カ月、新卒であれば2~3ヵ月で効果を体感できます。
プロジェクト期間は2~3ヵ月なので、プロジェクトスタートから効果を体感できるまで、早ければ半年ほどです。
ただし、ここで注意しなければいけないのは、採用ブランディングの法則に基づいた採用フローを忠実に行わなければいけないという点です。
採用フローを忠実に行わなかった場合、短期間で効果が表れない場合もあります。
なぜ採用ブランディングは短期的な効果が出せるのか?
採用ブランディングの即効性において「本当にそんな短期的な効果が出るの?」と不審に感じる方もいるかもしれません。
しかし、それができてしまうのが、採用ブランディングです。
具体的な理由として、主に以下の2つが挙げられます。
- 採用サイクル自体がそもそも短い
- 採用にとって本質的なことを着実に行う
それぞれの理由について、以下で具体的に解説していきます。
採用サイクル自体が短い
そもそもの採用市場の構造にあたる部分ですが、採用というのは、募集から内定までのサイクルがとても早いです。
中途採用であれば、早ければ一カ月で決まります。
新卒の場合は選考・エントリーと中途よりも時間はかかりますが、大体2~3ヵ月ほどでしょう。
この採用サイクルの短さは、必然的に採用ブランディングの効果を早めます。
採用にとって本質的なことを着実に行う
私たちが提唱する採用ブランディング・プログラムは、すべてで9工程あります。
9工程のなかで特別なことをしているのか?と言うと、決して物凄く特別なことをしているわけではありません。
採用に関わる人が聞けば、「当たり前」と納得するような内容でしょう。
しかし、多くの企業はその「当たり前」を実行していません。
一見基本的、基礎的だと思われることを、精度高く構築していきます。
かつ、それを確実に実行するかこそ採用ブランディングで短期的な効果が出るのです。
採用ブランディングを行わない企業が採用に苦戦するのはなぜか?
採用ブランディングを行っている企業と、採用ブランディングを行っていない企業、言うならば採用できる企業で採用できない企業の大きな違いは、採用活動の軸になるコンセプトが統一されているかどうかです。
採用ブランディングは、コンセプトを一貫させた上で、説明会や面接、面談などの直接の接点だけでなく、クリエイティブや広報などに落とし込むため、求職者の印象に大きく残ります。
では、コンセプトを一貫させていない、つまり採用ブランディングを行っていない企業はどうなるかというと、よくあるのが「ホームページ・パンフレット・求人媒体」などでバラバラの訴求をしてしまっているパターンです。
- ホームページ:「元気な会社」
- パンフレット:「働きやすい会社」
- 求人媒体:「若い人が活躍しています」
上記の例ではどうでしょうか?
それぞれ一貫性がない上に、情報の深さもありません。結局のところ「どんな会社なの?」と印象に残らないでしょう。
ただし、すべての企業がこの限りではありません。
例えば、誰もが知るような大手企業であれば、上記のような訴求をしても問題なく採用できます。
知名度があるために、改めてイメージを伝える必要もありませんし、直接の接点で、しっかりと対応していれば、基本的に良い印象を持ってもらえます。
大手企業と同じ採用方法では負け続ける
上記で「大手企業は各媒体でバラバラの訴求方法をしても採用できる」と説明しました。
ここで大事なのは、求職者が企業に対してイメージがあるかないかの違いです。
例えば「リクルート」と「中小企業のA商事」で、いずれも同じような訴求をしていた場合をイメージしてみてください。
仮にA商事の選考までいったとしても、大手と比較されれば大手にいってしまいます。
つまり、中小企業は、大手企業と同じ訴求、同じ採用方法をした時点で負けてしまっているのです。
採用ブランディングで短期的な効果を出すための1つのポイント
先述したように、採用ブランディングは全部で9つの工程があります。
ここでは、その中から重要なポイントとして「強みと弱みの整理」について解説します。
弱みを明確にしなければいけない理由
中小企業は「強み・弱み」を整理して、求職者に伝えていかなければいけません。
強みだけではなく、弱みまで整理しなければいけない理由は、弱みに対してポジティブに応えるためです。
例えば、「残業が多い」という弱みの場合、求職者からの質問に対して「残業が多くて……」で止まってしまいます。
これでは、ネガティブな印象を与えてしまうでしょう。
弱みを整理することで「残業が多い、だけど今こんな取り組みをしている」とポジティブに伝えられるのです。
強みを伝えるペルソナを明確にする
「強み」を伝えるために、主に価値観を軸に、ペルソナを決めていきます
これにより、「誰に何を伝えるか」が明確になっていくのです。
強みについては、むすび株式会社の採用ブランディング・プログラムにおいては、数多くの強みの中から、3つを選んでいただきます。
10個も20個も強みがあると、現実的に伝わらないためです。
しっかり印象に残すには、3つが限界でしょう。
そして、このペルソナに強みをどう伝えていくか?を言語化していき、コンセプトを作る。コンセプトを1行で表してスローガンを作る。これらの流れを行うことで、必然的に表現が統一されていきます。
さらに、スローガンを軸にすることで、精度の高い採用フローを作っていけるのです。
採用の短期的な成果を出すなら採用ブランディングを忠実に行う
巷の採用ブランディングでは、「結果が出るまでに長期間かかる」と言われるケースがあります。
しかし、私たちからすれば、これは間違いです。
採用ブランディングの法則に則って忠実に行えば、短期間で成果は出ます。
少なくとも、むすび株式会社で行っている「採用ブランディング」では、多くの企業が採用ブランディングの即効性を体感しています。
深澤 了 Ryo Fukasawa
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター
2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。2015年早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン、フランスで5度金賞受賞。制作者としての実績はFCC(福岡コピーライターズクラブ)賞、日本BtoB広告賞金賞、山梨広告賞協会賞など。雑誌・書籍掲載、連載多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても”光る人材”が集まる 採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。