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レポート

2021.02.05

採用が経営の入り口と思って採用している企業は遥かに少ない。

採用ブランディングがじわじわと浸透してきて、大変うれしい限りです。最初の書籍の発刊から早3年が過ぎました。いろんな企業が「採用ブランディング」という言葉を使うようになりました。しかしその多くが、採用ブランディングをつくった私から言わせれば間違った認識による採用ブランディングなのです。

挙げればキリがありませんが、多くの場合
・採用でのプロモーションのことを採用ブランディングと言っている。
・制作物のことを指して採用ブランディングと言っている。
・HPや映像のみで採用ブランディングができると言っている。
・ブランディングと採用実務を分けて考えている。
・採用マーケティングとの違いがわからず、採用ブランディングと言っている。

ざっとこんなところでしょうか。採用マーケティングの文脈は、日本におけるマーケティングがかなり近視眼的な意味合いを含むこともあり、「市場にいるなるべく多くの人の気持ちに届かせるため」の採用マーケティングなのです。また非人的な施策がその発想の中心です。採用ブランディングは非人的なコミュニケーションと人的な採用活動の融合を目指し、「最初から理念共感してくれる人を集めるにはどうすればいいのか」という発想です。まず立ち位置からして大きく違います。似て非なるものでなのです。

アーカーが「ブランドは企業の資産であり、戦略である」と定義したことからはじまった今日のブランド構築の考え方ですが、そこを土台にすると、採用ブランディングとは「長期的な利益を生み出す起点」と指摘することができます。詳しい説明は省きますが、採用ブランディングによって、理念共感する人材が入社すると、7つのステップで利益につながることを私たちは独自でモデル化しています(別ページ/03業績向上につながる理念浸透策を参照)

しかし一方で、一向に企業の採用は経営を意識するものにはなっていません。採用とは本来、企業を強くするためにあるはずです。にもかかわらず、採用数だけに執着し、だからこそ、多くの企業が採用を永遠にし続け、予算を垂れ流し、そしてその構図の中で戦いが繰り広げられています。その結果、知名度のある企業が勝ち、知名度のない企業は永遠に負ける、という図式が生まれています。この中で勝負している限り、知名度のない企業は勝てません。繰り返します。永遠に勝てません。

いろんなセミナーで話しているのですが、「入社3年以内の退職3割」という構図もまた、この従来の採用の図式の中で起きていることだと考えています。企業の根源である理念を重視しない採用のやりかた。その一方で、求職者には自分を掘り下げ、志望動機や自己PRを練らせる。大人である自分たちから自己開示しない茶番採用。だからミスマッチが起きるのです。そもそも採用のやりかたが間違っています。採用の業界もまた、企業が採用できないことで儲かる図式になっています。

だからこそ、一つでも多くの企業が「採用ブランディング」を実践してほしいのです。今の採用の構造を打ち破り、自社が自社らしい人を採用し、企業力を上げていく採用ができるのが採用ブランディングなのです。しかもそれは、地域、業種、規模関係なく、実践できるのです。経営の起点を変えていくことこそ、経営をよくしていくために大切なことのはずです。

しかし、採用ブランディングの知名度もまだまだ。私たちももっともっと精進しなければなりません。
(深澤)

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