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レポート

2020.05.25

ブランディングに必要な「感覚」と「表現」を統合するということ

最近のわたしの関心は、専ら自分の身体の中にある感覚を、
いかにフィットする言葉にできるか、です。
いわゆる「反射的」に頭に浮かぶ言葉は、よく目にしていたり自分の感覚と相談なしに「使っている」ことが多いと感じてます。

何しろ確認することなく「反射的」なわけだから違和感が生じる。
「あれ?これってわたしが本当に表現したいことだっけ?」と。
だけど、その違和感さえも忙しさや面倒くささを理由にスルーしちゃうこともあります。

そんな時にコロナさんがやってきた。
何を大切にしていきたいのか
何を表現していきたいのか
分からなくなってフリーズ。
ことあるごとに自分の棚卸しはしていたので大丈夫だと思っていたけど、
全然大丈夫じゃありませんでした。
学校と塾にお任せしていた子どもたちの勉強は止まり、
こんなにも不安になるんだ、と初めて知りました。
学校、塾、先生、職員の方々みなさんにいかに支えていただいているのか。
本当に感謝です。

わたしの中の「自分」と「子どもたち」の配分が崩れ、
暗中模索な時を過ごしました。
価値観の見直しが否応なく目の前に現れては自問自答。
そんな中で感じたのが「わたしが使う言葉に対する違和感」。
ここから自分の身体の中にある感覚にフィットする言葉を探す、
すなわち自分の価値観に合う言葉の再構築が始まりました。
これって、ブランド構築していく上でもすごく大切なんです。

論理立てて戦略を構築していくブランディングの仕事には、
それとは逆の感情や感覚といった部分も非常に大切です。
これを体現するには、どちらかに偏っていてはできない。
理論から仮説を立てて戦略を練っていくけど、
戦略が個人や企業の価値観や文化に合うものにするため
柔軟な引き算や足し算が必要です。

その上で、自分たちの価値観や文化に合うものを
「どう表現をしていくのか」というのがミソで、
その人、企業にあった表現の検討が深くなされていることが
ブランディングには必要になってきます。

戦略立てて論理的にロードマップを明確にすることも大切ですが、
個人にしろ、企業にしろ、自分たちが認識した「強み」を
「自分たちらしい」言葉や態度に落とし込み、表現していくためには
自分たちが感じた「感覚」と「表現」を統合することが望まれます。

ブランドは顧客の頭の中にある「強くて、好ましくて、ユニークなイメージ」。

この「強くて、好ましくて、ユニークなイメージ」を
どんな強みを、どのように構築していくのか、というのが
ブランドを創る側の働きかけ。
自分たちの言いたいことだけを表現していくだけでは独りよがりにもなりますし
逆に顧客の頭の中にある「なんとなく」なイメージだけに寄せてしまうと
自分(自社)の軸が、
無意識につくられた他者のイメージに振り回されることになってしまいます。

自分たちは何を大切にしていて、どんな社会を目指し、
そのためにどんな行動をおこなっていくのか。
ここの意志やそれに伴う感覚と表現が統合されていないと
本当の意味でのブランディングの構築は難しいものになってしまいます。

コロナによってもたらされた「価値観の再構築」は
本来、自分たちが目指す社会や、大切にしていることを見つめなおす、
そんな時間を与えてくれたように感じています。

(嶋尾)

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