甲州富士川・本菱・純米大吟醸は只今、仕込みの真っ只中。
先週5日には留仕込みを行いました。
日本酒には何度かに分けて米を入れる工程がありますが、
留仕込みはその最後。
炊いたお米を少し冷まし、それを布に包んで、
蔵人が代わる代わる交代で醸造タンクへ運びます。
私もその工程に交わらせてもらい、何周か往復しました。
しっかり腰を入れないと、すぐに痛めてしまいますから、いくぶん慎重に。
タンクにかけられているはしごを慎重に登り、
布をタンクの中に入れないように米を落とす作業は慣れるまで、
体のあらゆる場所がプルプルしました。
少し時間が空いたとき、杜氏さんとお話をすることができました。
昨年までいた大ベテランの杜氏さんが引退され、代替わりしたのです。
「来年できあがったら、去年までのほうがよかったね、といわれてしまうかもしれないけど、それでも毎年進化していきたい。まだまだだけど、今年の酒は去年よりもいい酒だね、と言われるものをつくりたい。そのために今、試行錯誤しています」
「自分に迷いが出ると、蔵人のみんなも迷ってしまって、それが酒の味になってしまいそうだから、なるべく迷わず、数字と自分の勘を信じてやっています」
もうね、感動してしまいましたよ。聞いていて。
情熱大陸かプロフェッショナル仕事の流儀かと思うくらい。
僕の頭の中では二大ドキュメンタリーのBGMが鳴り響いていました。
映像で残しておきたかったくらい。
酒造りに真摯に向き合う新しい杜氏さんの、職人魂を垣間見た感じがしました。
この工程が終わると、温度管理をしながら発酵を促します。
杜氏さんいわく、このあとはできる限りのことはするけど、
発酵に任せるしかない「神の領域」になるんだそうです。
やはり酒は神事との結びつきが強いですね。
本菱2020は年明けに初搾り。きっと2020年らしい、
新しい時代の幕開けのようないい味のする本菱が出来上がるはずです。
(深澤)
富士川町産玉栄 本菱が眠るタンク
吟醸酒は別部屋 麹を育てる部屋
洗米したばかりの酒米 酒造りには和が重要