採用ブランディングと同じくらい、採用マーケティングという言葉も世の中で多く使われるようになっています。「マーケティング」の本来の意味は、「マーケットをつくること」です。そこから意味が広がり、顧客の声を聴き、それを戦略に活かしていくことを言います。この言葉の意味をそのまま採用に転用すれば、求職者の声を聴き、それを戦略に活かして、母集団をつくること、と解釈することができます。
しかしこのところよく言われる「採用マーケティング」の意味は、「採用広報における最適な組み合わせ、またその表現・訴求の効率的なしかた」という意味に集約されています。マーケティングは本来4Pとわれる手段があるように、広報やプロモーションのみがマーケティングの手段ではありません。つまりこの意味においても今よく言われる「採用マーケティング」は間違った認識で広まり、解釈されてしまっています。だからこの意味で採用マーケティングを実践しても、効果は薄いと思われます。この意味で大きな効果を出そうとするならば、プロモーションのように、より大きな予算を投下したときのみでしょう。しかしそんなことが、多くの企業にできるかというとほとんどできないのが現実です。
では、本来的な意味での採用マーケティング、「求職者の声を聴き、それを戦略に活かして、母集団をつくること」ではどうでしょうか。求職者の声を聞いて、それを戦略に活かしても、一時的に応募は増えるかもしれませんが、それは採用において本質を突いているとは言えません。採用は自社の価値観と求職者の価値観がマッチすることで、入社後の活躍人材になるかどうかが決まります。定着、活躍を有無には、求職者の声だけ聞いていてもダメなのです。また現在の採用シーンでは、「母集団が多けば採用できる確率が高まる」ということがよく言われ、母集団集めに必死になる企業が多いのですが、上記の理由により、やみくもに母集団を集めても、価値観がマッチしていなければ、ミスマッチによるすぐの退職にもつながりかねません。
多面的に見ても、採用マーケティングは一部の有名大企業以外を除き、多くの企業にとって、あまり意味をなしません。だからこそ、採用ブランディングなのです。ぜひ多くのみなさんが正しい採用ブランディングを知り、理解し、実践されることを強く望んでいます。
採用ブランディングの具体的な進め方に関してはこちらへ。
採用ブランディングの効果に関してはこちらへ。