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レポート

2025.04.14

採用早期化の波にどう備える?競争を勝ち抜くために企業が今すべきこと

採用早期化

近年、採用市場では“早期化”が大きなトレンドとなっています。新卒採用では3年生のうちからインターンを通じた選考が始まり、中途採用においてもスカウト起点での接触が常態化しています。

この流れに乗り遅れた企業は、優秀な人材と出会う前に他社に決められてしまうことも少なくありません。しかし、採用スピードを上げるだけでは不十分です。社内の準備や価値観の共有がなければ、早期接触も成果にはつながらないのです。

この記事では、採用早期化の現状と企業がとるべき対応、そしてその土台となるインナーブランディングの重要性について解説します。

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採用の早期化が加速し、企業の対応力が問われている

採用活動の開始時期が年々早まっており、企業はこれまで以上にスピーディな動きが求められています。もはや「解禁日を待って動く」時代ではなく、準備が整っているかどうかで採用成果に大きな差が出るようになっています。

以下では、その背景と早期化の具体的な動きについて見ていきます。

中途市場も“スカウト起点”で水面下競争が激化

中途採用でも、企業が求職者を「探す」「声をかける」ダイレクトリクルーティングが一般化し、優秀な人材ほど水面下での争奪戦が加速しています。

すでに転職意向のある人材に限らず、「潜在層」へのアプローチも主流になりつつある中、採用活動のスピードと初期対応の質が勝敗を分ける要素になっています。

採用広報や動き出しが遅れると、母集団形成に失敗する

早期に認知・信頼を獲得しておかないと、募集開始時点で候補者が集まらず、採用活動そのものが苦戦します。特に知名度の低い企業ほど、採用広報の工夫とタイミングが成功の鍵となります。

「採用は広報から始まっている」という意識を持ち、早期接触の準備を進めることが重要です。

採用を早めても、社内の準備が整っていなければ意味がない

内の準備が整っていなければ意味がない

早期に動き出しても、社内の選考体制や受け入れ準備が不十分では、せっかく接点を持った候補者を逃してしまいます。

ここでは、早期化に対応するうえで見落とされがちな社内の準備不足によるリスクを紹介します。

選考体制が不十分だと、対応の質が下がる

早期に候補者と接点を持てても、面接官のアサインや評価体制が整っていなければ、選考が形だけのものになってしまいます。結果的に、「企業理解が深まらなかった」「対応が雑だった」と感じた候補者は離脱しやすくなります。

スピード感を持ちつつ、各選考段階の質を保つためには、事前の体制構築が必須です。

面接官の準備不足が企業の印象を下げてしまう

早期に接点を持つ候補者は、その時点で企業の“第一印象”を形成します。面接官が企業理解や選考の目的を把握していないと、候補者からの信頼を失いかねません。

「誰と会うか」は「どの会社を選ぶか」に直結するため、早期選考での面接官の役割は非常に大きいといえます。

情報が整理されていないと、候補者の不安につながる

企業の情報が面接官ごとにバラバラだったり、入社後のイメージが伝わらなかったりすると、候補者は「この会社、大丈夫かな?」という不安を抱きます。

採用ページ・説明資料・面接対応など、早期の情報発信に一貫性があるかどうかが、安心して選ばれる企業か否かの分かれ目です。

採用活動を組織で回すには、価値観の共有が不可欠

早期に採用活動を始めると、関係者全員がスピーディに判断・対応することが求められます。にもかかわらず、社内で「どんな人を採るべきか」という価値観が統一されていなければ、選考は迷走し、判断もブレやすくなります。

ここでは、価値観の共有がないことで起こりうる問題を見ていきます。

評価の軸が統一されていないと判断が遅れる

複数の面接官が異なる観点で評価をしていると、選考結果の集約に時間がかかり、結論が出るのが遅くなってしまいます。これは候補者の離脱につながる大きな要因です。

「私たちは何を重視して人を選ぶのか」を明文化し、共通言語として社内で共有しておくことで、判断のスピードと納得感が両立します。

伝える内容が人によって異なると、企業への信頼が下がる

面接官や担当者によって話す内容や言い回しが違うと、候補者は「一貫性がない」「何が本当なのか分からない」と感じてしまいます。

これでは企業としての信頼を得ることはできません。どのフェーズでも“同じ価値観”を伝えられる体制づくりが必要です。

早期化の時代にこそ、インナーブランディングが求められます

スピードが求められる採用活動において、企業の“内側”が整っていなければ、候補者に選ばれることは難しくなります。

ここでは、インナーブランディングによって得られる効果を紹介し、早期化への対応力を高める方法を解説します。

社内で“採用の共通言語”があることで判断と説明に一貫性が出る

「どんな人を採るか」「なぜその人なのか」を社内で共通言語として定義しておくことで、面接やフォローに一貫性が生まれます。これにより、判断のブレや伝達ミスを防ぎ、選考スピードも向上します。

社員が自然に企業の魅力を語れる状態が、採用成功のカギ

インナーブランディングが浸透していれば、社員一人ひとりが自社の強みや価値観を言葉にでき、面接・説明会・SNSなどあらゆる場面で魅力を伝えられるようになります。これは他社と差をつける強力な武器になります。

早期接触でも「印象に残る企業」になるために必要な基盤

早いタイミングで出会うからこそ、「この会社はしっかりしている」「信頼できる」と思ってもらうことが重要です。インナーブランディングによって企業の価値観が社内外で一致していれば、候補者の印象に残り、入社意欲にもつながります。

スピードと信頼を両立するには、社内の足並みを揃えることがカギ

採用早期化の流れは今後ますます加速していきます。スピード感のある採用対応は不可欠ですが、それを支えるのは、社内の“価値観の共有”と“一貫性あるコミュニケーション”です。

インナーブランディングによって社員が共通の言語で採用に関われる状態をつくることが、早期選考の成果を最大化させるカギとなります。採用の勝負は始まるタイミングだけでなく、“備え”で決まります。外に向けて発信する前に、まず内側を整えること。それがこれからの採用に求められる基本姿勢です。

弊社のインナーブランディング事例はこちらをご確認ください。】

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深澤 了 Ryo Fukasawa
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター

2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。2015年早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン、フランス、ミラノで6度金賞受賞。制作者としての実績はFCC(福岡コピーライターズクラブ)賞、日本BtoB広告賞金賞、山梨広告賞協会賞など。雑誌・書籍掲載、連載多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても“光る人材“が集まる 採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。「どんな会社でもできるインナーブランディング」(セルバ出版)。「人が集まる中小企業の経営者が実践しているすごい戦略 採用ブランディング」(WAVE出版)

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