企業が優秀な人材を惹きつけ、長期にわたり戦力として組み込むためのカギとなるのが「インナーブランディング」です。
この記事では、社内文化から採用プロセス、ターゲットとなる候補者の評価方法まで、インナーブランディングを導入することで採用がどのように変わるのかを解説します。
採用戦略を強化するインナーブランディングの要素
企業の採用戦略をより効果的にするためには、インナーブランディングが極めて重要です。インナーブランディングとは、企業文化、価値観、理念など、企業が内部で共有している要素を体系化し、従業員がこれを自然と意識し、行動できるようにする取り組みです。
これは外部のみならず、内部に向けてもブランディングを行うことで、従業員一人ひとりがブランドの大使となり、企業価値を高める効果が期待できるでしょう。
また、戦略的なインナーブランディングは、優秀な人材を惹きつけ、定着させると同時に、企業全体の生産性を向上させる可能性があります。
社内文化を形成するコアバリュー
社内文化を形成する上で核となるのがコアバリューです。コアバリューとは、企業の基本的な信念や価値観を指し、これを明確にすることで従業員が共通の目標に向かって歩んでいくことができます。
実際にそれを社内に浸透させるため、日常業務の中でそれを常に意識できるような環境を整えることが大切です。
たとえば、月例会議での価値観の共有、業務プロセスの見直し、報奨制度の設計などを通して、コアバリューを体現する文化を育んでいく必要があります。そうすることで、組織全体が一丸となり、その強固な文化は企業の大きな競争力となるでしょう。
ブランドアイデンティティの内面化
ブランドアイデンティティの内面化とは、従業員が企業のブランドや理念を自分事として捉え、それが自然と行動や考え方に反映されるようになることを指します。
インナーブランディングによって、会社のビジョンや目標を明確にし、これを従業員が日々の業務を通じて体験し、理解し、共感することができれば、彼らは自然とそのアイデンティティを体現するようになります。
そして、その状態が実現されると、彼らの行動自体が企業のブランディングとなり、外部の人材にとって魅力的な企業イメージを築くことにつながるでしょう。インナーブランディングの効果は採用の質の向上にも直結します。
脱・従来の採用手法 インナーブランディングによる差別化
昨今の企業は、採用においてより戦略的なアプローチを必要とされています。単に給与の額や職場の環境をアピールするだけではなく、企業内部の価値観や文化を前面に打ち出した「インナーブランディング」による採用方法が注目されています。
これは、企業が持つ内面的なブランドを構築し、それを採用市場にうまく映し出すことで、企業の真の魅力を求職者に理解してもらい、共感を呼ぶことが目的です。この手法により、企業はより適合した人材を引き寄せ、採用競争における差別化を実現することができるでしょう。
競合との差別化を図るインナーブランディングの力
競争の厳しい採用市場において、企業は同業他社との差別化を図ることが求められます。インナーブランディングは、企業が保有する独自のミッション、ビジョン、価値観といった内面的要素を明確化し、それを伝えるストーリーテリングを通じて、企業文化や働きがいを感じる環境を構築します。
これにより、求職者に企業の個性や強みを訴えることができ、同じ業界内であっても一線を画した存在となるのです。採用時に共感を生むメッセージを発信することで、文化や価値観を共有する人材の獲得が可能になります。
持続可能な採用へ インナーブランディングで育む人材基盤
企業が長期的な成功を実現するためには、採用された人材が企業と共に成長し、その企業に長く留まって貢献することが重要です。この目的を実現するためには、インナーブランディングの導入による効果的な人材基盤の構築が必要です。
インナーブランディングとは、企業がその価値観や文化を社内外に伝え、従業員が自社のブランドに誇りを持ち、その分野でのリーダーであると感じられるように育成することです。これにより、従業員のモチベーションの向上と共に、企業文化への強い帰属意識を育むことが可能となるのです。
長期的視点での採用戦略立案
持続可能な成長を目指す企業にとって、採用はただ人員を補充するだけの行為ではありません。将来を見越した戦略的な採用計画が求められます。
そこで、インナーブランディングを活用して、企業の核となる価値観を共有し、それに基づいた人材を長期的に確保することが重要です。例えば、求人情報に企業のミッションやビジョンを明記し、これに共感する候補者を惹きつけるといった方法が考えられます。
インナーブランディングを通じて、企業が追求する価値を理解し、共鳴する人材を得ることで、組織の核が強化され、長期的な競争優位性の確立に繋がるのです。
社員定着率の改善とインナーブランディング
人材が流出することは企業にとって大きな痛手です。社員定着率を上げるためには、インナーブランディングが有効な手段となります。社員一人一人が企業のビジョンや文化に共感し、自分の仕事が企業の目標達成にどのように貢献しているのかを理解することで、職場への強い帰属意識が芽生えます。
このような意識を持つ社員は、会社に対するロイヤリティも高く、離職率の低下に繋がります。インナーブランディングを推進することで、社員が自社を誇りに思い、長期にわたって活力をもって働く土壌を育んでいくことができるのです。
導入から定着まで インナーブランディング導入後の課題管理
企業がインナーブランディングを導入した後は、ただちに組織内での文化として定着するわけではありません。このプロセスには、見えにくい数々の課題があります。
そのためには、日々のコミュニケーションや制度面、教育などにおいて、真剣に取り組む姿勢が欠かせません。
インナーブランディングを成功させるためには、長期にわたる戦略的な取り組みと、絶えず状況を見直し、改善していく必要があるのです。
私たちむすび株式会社は、インナーブランディングの理念浸透活動までサポートします。
ぜひインナーブランディングを検討されている企業は、一度ご相談ください。
深澤 了 Ryo Fukasawa
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター
2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。2015年早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン、フランス、ミラノで6度金賞受賞。制作者としての実績はFCC(福岡コピーライターズクラブ)賞、日本BtoB広告賞金賞、山梨広告賞協会賞など。雑誌・書籍掲載、連載多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても”光る人材”が集まる 採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。