時代と共に変わる採用市場の中で、企業の内面が重要視され始めています。インナーブランディングとは、企業文化を構築し、求職者に響くような魅力的な働き方の実現を目指すものです。
その秘訣を、採用プロセスと組織内コミュニケーションの強化から明確な企業価値の策定まで、探っていきましょう。
採用プロセスにおけるインナーブランディングの役割
インナーブランディングは、企業が社内外に向けて発信するブランドの体現です。特に採用プロセスでは、応募者に企業の良さを伝え、共感を呼ぶ役割があります。
今日では多くの求職者が、給与や仕事内容だけでなく、企業文化や価値観にも注目しています。そのため、採用段階からインナーブランディングを活用し、企業が大切にしている理念や想いを伝えることは非常に重要なのです。
採用プロセスを通じて、求職者に対し企業文化を体験してもらうことで、入社後のモチベーション維持や離職率低下に繋がることが期待できるでしょう。
求職者へのアプローチ方法の工夫
企業がインナーブランディングを通じて求職者にアピールする際には、単に企業情報を伝えるだけでなく、どのようなアプローチで関心を引くかが重要です。
例えば、企業の社会貢献活動や従業員の声を積極的にSNSで発信することで、企業の人間らしい一面を見せることができます。また、企業が主催するセミナーやワークショップに求職者を招待し、実際に企業文化を体験してもらう機会を持つことも一方法です。
それにより、企業に対する信頼感を築き、企業と求職者との間のフィット感を事前に確認することが可能になります。こうした工夫を凝らすことで、ただの情報提供者から、関係者として接することができるのです。
採用面接で伝えるべき企業の価値観
採用面接は、応募者に対して企業の価値観を伝える貴重なチャンスです。インナーブランディングが効果を発揮するためには、面接を行う側が企業の価値観をしっかりと理解し、それを伝えられるように準備することが大切です。
例えば、企業の使命やビジョンを共有し、それがどのように日々の業務や組織の意思決定に影響を与えているのかを事例を交えて説明すると良いでしょう。
また、応募者が企業の価値観に共感できるかどうかを見極めるために、価値観に基づいた質問をすることも重要です。このような対話を通じて、採用面接は単なる能力の確認だけでなく、企業文化の理解と共感を深める場になります。
組織内コミュニケーションの強化
組織内でのコミュニケーションは、チームワークの強化や業務効率の向上、さらには社員満足度の向上といった多くの利点をもたらします。そのためには、明確なコミュニケーションチャネルの確保と、それを支える企業文化の醸成が不可欠です。
情報共有の仕組みを整え、積極的なフィードバックの文化を育て、社員が安心して意見を述べられる環境作りに努めることが大切です。また、組織内コミュニケーションを強化することは、インナーブランディング戦略の一環としても重要であり、社内だけでなく、社外に対してもポジティブな影響を与えます。
内部コミュニケーションで価値観を共有する方法
価値観を共有する上で必要なのは、まず全員が同じ方向を向いていることを確認することです。目的意識を共有し、それに向かって一丸となって取り組むことが、効果的な内部コミュニケーションには不可欠です。
たとえば、社内ニュースレターや情報共有用の掲示板を活用し、経営層から最新の業疾や目標を社員全員に伝えることができます。また、社内プラットフォームを設置して、部門を越えたコラボレーションを促進することも重要です。
定期的なミーティングやワークショップを通じて、価値観やビジョンを社員に再認識させ、経営層と一般社員が直接コミュニケーションを取る機会を設けることも有効な方法の一つです。
社内イベントを通じたブランディング効果
社内イベントは、社員が共有する価値観を深め、企業文化を体現する機会を提供します。
例えば、社内の記念日イベントや表彰式、チームビルディングのためのアクティビティなどは、社員のモチベーションを向上させるばかりでなく、企楺の理念や価値観を伝達するのにも役立ちます。
これらのイベントを通じて、社内外に企業のポジティブなイメージを発信し、インナーブランディングを強化することができます。更には、社員がイベントを通じて共有した経験は、職場での絆を深め、チームの一体感を醸成することにも繋がります。
社内イベントについては、以下の記事でも解説していますので、参考にしてください。
明確な企業価値の策定と共有
企業価値を策定し、共有することはインナーブランディングの重要な要素です。
なぜなら、社内に明確な価値観が浸透することで、社員一人一人が会社の目指す方向性を正しく理解し、組織全体の行動が一致するように働きかけることができるからです。
求職者にとっても、その企業が何を大切にしているのかを知る手がかりとなります。したがって、企業価値の策定と共有は、外部への魅力的なメッセージを発信すると同時に、内部の結束を高める上で不可欠なのです。
企業価値を明確にするプロセス
企業価値を策定するプロセスは、まず組織として何を一番大切にしたいのか、どのような存在でありたいのかを問い直すことから始まります。
こうした議論を経て企業のミッションやビジョンが改めて見つめ直されることも少なくありません。この過程で、経営層から一線の社員まで幅広く関わることが大切です。
それにより、多様な意見を取り入れながら、みんなが共感し支持できる企業価値が形成されていきます。また、策定した価値観は、行動指針や企業理念として文書化し、全社員に明示することが重要です。
魅力的な企業文化の下での採用戦略
企業が優秀な人材を引きつけるためには、雇用条件のみならず、その企業ならではの文化も大きく影響します。
魅力的な企業文化のもとで行われる採用活動は、求職者の心に深く刻まれるものであり、長期的な勤め先としての魅力を感じさせる重要な要素となるのです。
ただし、企業の文化を言語化するのは容易ではありません。企業はこれまでの文化を当たり前にやってきているからです。そのため、自社の文化や良い部分に気づけないのです。
ですから、私たちのような外部に任せるべきなのです。私たちは、客観的な視点から企業の文化を言語化できます。
そして、この方法であれば中小企業でも、大手企業に採用面で勝てるのです。
ぜひ求めている人材を確保するためにも、私たちに一度ご相談ください。
深澤 了 Ryo Fukasawa
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター
2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。2015年早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン、フランス、ミラノで6度金賞受賞。制作者としての実績はFCC(福岡コピーライターズクラブ)賞、日本BtoB広告賞金賞、山梨広告賞協会賞など。雑誌・書籍掲載、連載多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても”光る人材”が集まる 採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。