従業員のエンゲージメントの高さは直結しますが、正確な測定方法は案外知られていません。
この記事では、インナーブランディングの評価基準の設定から、効果的なKPIの選び方、測定データの解釈と活用方法まで、具体的な測定方法を徹底解説します。
インナーブランディングの測定基準
インナーブランディングは企業内部におけるブランドの価値を社員へ浸透させ、組織全体のブランドに対する理解と一体感を高める取り組みです。
このインナーブランディングの成果を測るには、具体的な基準を設ける必要があります。
これには社員のブランドに対する認識や行動の変化を見るための指標が用いられます。
定量的なデータを収集・分析することで、施策の効果を客観的に評価することが可能になります。
そのためには、社員へのアンケート実施、社内コミュニケーションの分析、ブランドに対する言及率など多角的な視点が要求されます。
測定指数を設定する重要性
インナーブランディングの効果を測定する上で、どの指数を使うか決定することは非常に重要です。
測定指数が適切でなければ、正確なデータが得られず、企業のブランディング戦略に誤った方向性を与えてしまうリスクがあります。
また、各指数はそれぞれに意味を持ち、異なる側面からブランディング効果を明らかにする役割を持っています。
インナーブランディングがもたらす変化は多岐にわたり、社員のブランドへの理解度、組織への帰属意識、社員行動のブランドとの一致度など、微妙な変化を捉えるためには慎重に指数の設定をする必要があります。
さらに、それらの指数を周期的に測定し、時間の経過による変化も見ていくことが重要です。
適切なKPIの選び方
インナーブランディングを測定するためには、適切なKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を選ぶことが不可欠です。
KPIの選定に当たっては、まず組織の目標とインナーブランディングの目標が連動していることを確認することが大切です。
次に、社員の日常業務に与える影響を考慮して、現実的で計測可能なものを選びます。
例えば、社員滞在時間の延長や、ブランドに対する言及回数の増加などが考えられます。
また、社員一人ひとりがブランド価値に沿った行動を取れているかの評価も重要なKPIになります。
この段階で、過去のデータや統計を活用して、KPIの妥当性を慎重に吟味することも重要です。
測定の際の落とし穴と回避戦略
インナーブランディングの効果測定では様々な落とし穴があります。
最も一般的なのは、非現実的なKPIの設定です。
高望みしすぎたKPIは達成が困難で、社員のモチベーションを下げる結果につながることがあるのです。また、一部の指標だけを重視し過ぎると、ブランディングの全体像を見失ってしまう可能性もあります。
これらの落とし穴を避けるためには、リアルな数値目標を設定し、測定指標のバランスを考えることが大切です。
定期的にKPIを見直し、継続的なフィードバックを取り入れながら、組織の現状に合った最適な指標に調整していく必要があります。
これにより、インナーブランディングの効果を正確かつ効率的に測定し、企業の内部コミュニケーションを円滑に行うことができるようになります。
従業員のエンゲージメントを測る方法
インナーブランディングの効果を測定するには、まず従業員のエンゲージメントの程度を把握することが重要です。
エンゲージメントが高い従業員は、一般的に仕事に対する満足度が高く、企業への忠誠心も強いと考えられています。
こうしたエンゲージメントの測定方法は様々ありますが、具体的な方法としては、アンケート調査や面談、パフォーマンスのトラッキングなどがあります。
これらの方法を用いて従業員の意見や意欲、職場での役割への満足度を定期的に測定し、その結果を分析することが大切です。
エンゲージメント測定のためのKPI例
エンゲージメントの測定においては、具体的なKPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)を設定することが有効です。
例えば、従業員満足度スコア、離職率、内部推薦の割合などがそれに該当します。これらのKPIに基づいてデータを収集し、分析することで従業員のエンゲージメントの状況を定量的に把握することができます。
さらに、プロジェクトへの参加度やトレーニングプログラムの完了率など、従業員の成長と発展に関連する指標も重要な評価基準となるでしょう。
フィードバックを活かしたエンゲージメント評価
エンゲージメントを評価する際には、従業員からのフィードバックを活かすことが不可欠です。これには、定期的なアンケート調査や1対1の面談を通じて従業員の声を聞くことが含まれます。
また、室内の様子やチームの動向を観察することで、非公式ながら非常に価値のある情報を得ることができます。
フィードバックはポジティブなものだけではなく、改善すべき点に関するものも含まれるため、率直で正直な意見を引き出すための環境作りが重要になります。
フィードバックを積極的に収集し、分析することで、エンゲージメントの高い職場環境を構築していくことが可能です。
エンゲージメントの向上に向けた行動計画
エンゲージメント測定の結果をもとに、実際の行動計画を立てることが次のステップです。
まずは、結果の分析から、企業文化や制度、コミュニケーションの改善ポイントを見つけ出します。その上で、従業員の意欲を高めるインセンティブの導入やキャリアパスの明確化、教育・トレーニングの充実などの施策を検討します。
また、フィードバックを基にした個々の従業員への配慮やサポートも大切になります。計画的に進められた行動計画は、従業員のエンゲージメントを向上させ、結果としてインナーブランディングの強化にも寄与するでしょう。
測定結果の解釈と活用
インナーブランディングの効果を正確に測定し、その結果をいかに解釈し、ビジネスに活用するかはとても重要です。測定するだけでなく、その数値が何を意味するのかを理解し、戦略的に展開することで初めて意義あるデータとなります。
私たちむすび株式会社は、理念浸透度の測定までサポートします。
以下の記事に具体的に解説していますので、そちらも参考にしてください。
深澤 了 Ryo Fukasawa
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター
2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。2015年早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン、フランス、ミラノで6度金賞受賞。制作者としての実績はFCC(福岡コピーライターズクラブ)賞、日本BtoB広告賞金賞、山梨広告賞協会賞など。雑誌・書籍掲載、連載多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても”光る人材”が集まる 採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。