経営を行うなかで「インナーブランディング」という言葉を聞いたことがない人はほとんどいないでしょう。
しかし、言葉を知っているにも関わらず実行しないのは、いまいち目的が理解できていないからではないでしょうか。または、なんとなく目的がわかっていても、具体的なイメージができていないのだと思います。
そこで今回は、あらためてインナーブランディングの目的について解説します。
インナー・ブランディングが自社のブランドを作る
前提として、インナーブランディングは自社の理念を達成するために行う社内の活動です。
自社のビジョン・ミッション・バリュー・パーパスなどを、従業員まで浸透させていきます。
では、なぜこのインナーブランディングが重要なのかというと、インナーブランディングが企業のブランドを作るからです。
そもそも、インナーブランディングというのは、企業ブランディングの中の一つです。企業ブランディングの中に、社外向けブランディングと社内向けブランディング(インナーブランディング)があります。
多くの会社は、インナーブランディングを優先せずに社外向けのブランディングのみを行ってしまいがちですが、これは適切とは言えません
近年のブランド論を形作ったアーカー(2015)は、以下の言葉を残しています。
- 「社内向けブランディングがカギになる」
- 「まず最初に行うべきが社内向けブランディング」
- 「ブランドを演じる人をどれだけつくれるかが大事」
つまり、インナーブランディングで企業の一貫性を出していくことが、社外向けのブランディング、ひいては自社のブランドを作り上げるのです。
インナーブランディングの強化がブランドを強化する
インナーブランディングが強化され、すべての従業員が理念を理解していれば、自社のブランドは必ず強くなります。
たとえば、社外へのプロモーション活動を行う際も、訴求の軸がブレることなく伝えられるようになるでしょう。
また、現場スタッフの行動指針にも影響します。
たとえば、「お客様第一」というようなクレドを掲げていたとした場合、現場スタッフがお客様の声を聴かなかったり、クレームが入った際に適切な対応をとらなかったりすれば、自社の理念とズレてしまいます。
理念が浸透することで「うちの会社はお客様第一だから、このような行動をとらなければいけない」と考えられます。結果的に、顧客からも「あそこの会社はお客様を第一に考えてくれる」と認識されるのです。
インナーブランディングはすべての従業員で実践する
先述したように、自社のブランドを強化するためには、現場スタッフまで理念が浸透していなければいけません。
全部署、全従業員で実践することで、インナーブランディングを行う意味があります。
どの部署の誰に聞いても理念を知り、理解し、実践している状態であるべきです。
一人でも理念を理解し、実践できていなければ、どこかで自社のブランドを崩す問題が起きてしまう可能性があります。
弊社の理念共感採用を軸にしている採用ブランディングプロジェクトにおいても同じことが言えます。理念に共感して応募したにも関わらず、一人の社員が「理念をあまり知らない、実際はそんなに意識して行動していない」と伝えてしまったとしたらどうでしょうか。
たった一人の一言で、応募者は「この企業は理念を掲げているのに浸透していない」と感じてしまうでしょう。
そのため、インナーブランディングを全従業員で理解し、実施する必要があるのです。
インナーブランディングは組織づくりそのもの
インナーブランディングは「ブランディング」という言葉を強くイメージしてしまいがちですが、実際は組織づくりそのものです。だからこそ、経営者自身がインナーブランディングをしっかり理解しておく必要があります。
さらに、社長だけではなく、社長から階層の離れた従業員が同じ意識を持てば、組織はどんどん強くなっていくでしょう。そして、それを実現するための施策が、インナーブランディングなのです。
もちろん、組織づくりや個人の成長を促す方法は他にもあります。しかし、部署ごと、または階層ごとに実施する内容が変わると手間になりますし、研修などの導入はどうしてもその場限りになりがちです。
インナーブランディングをもとにすれば、自社にとって必要な施策と不要な施策を選別しやすくなる上に、個人の主体性を引き出しながら進めていけます。
インナーブランディングが企業の軸を作る
インナーブランディングは、企業の軸を作るための施策と言っても過言ではありません。先述したように、インナーブランディングは組織づくりであり、経営そのものです。
インナーブランディングを行うことで、社外向けのブランディングも行えますし、採用活動にも効力を発揮します。
しかし、多くの企業では、重要だとわかっていっても「何を、どのように、どれくらい」行って良いのかわからないでしょう。そこで、私たち、むすび株式会社を頼ってください。
私たちは、採用ブランディング・プロジェクトにおいて、理念浸透のノウハウを持っています。採用ブランディングの観点も合わせてインナーブランディングのサポートを行いますので、ぜひご相談ください。
深澤 了 Ryo Fukasawa
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター
2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。2015年早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン、フランスで5度金賞受賞。制作者としての実績はFCC(福岡コピーライターズクラブ)賞、日本BtoB広告賞金賞、山梨広告賞協会賞など。雑誌・書籍掲載、連載多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても”光る人材”が集まる 採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。