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レポート

2023.05.29

採用において動画は必要か?採用の課題を解決するのか?

採用ブランディング動画に効果はあるのか?採用の課題を解決するのか?

採用ブランディングや採用活動におけるマーケティングの一環として、動画を制作している、または検討している企業もあるかと思います。結論から言ってしまえば、いきなり動画に着手するのは費用対効果の面で得策ではありません。

とくに「採用ブランディングの一つとして動画を作る」といった観点で考えているのであれば、今すぐに動画を作るのは止めた方が良いです。

しかし、動画コンテンツはもちろん、採用ブランディングとして動画を制作する方法も流行っています。今回は、採用ブランディングにおける動画制作について、私たちむすび株式会社の観点から解説します。

 

採用ブランディングにおける動画の役割とは?

用ブランディング動画とは?

採用ブランディングにおける動画の役割とは、動画制作会社によっても概念は異なりますが、主に理念を強く伝えるためのメッセージ動画です。採用ブランデッド・ムービーとも呼ばれています。

しかし、採用ブランディングにおける動画については、私たちから語ることはほとんどありません。なぜなら、私たちは採用ブランディングにおける動画を強く勧めていないからです。

そもそも、採用ブランディングにおける動画というのは、動画コンテンツの流行がある上で生まれた制作物です。トレンドに乗るという時点で、一時的なものと言えます。

採用マーケティング観点から見れば効果があるように思えるかもしれませんが、広く採用の課題を解決できるかと言えば、疑問が残ります。

 

採用クリエイティブのみで採用の課題は解決できるのか?

そもそも、採用の課題をクリエイティブだけで解決できるのか?と言うと、答えはNOです。動画に限らず、HPやパンフレットなど、クリエイティブだけでは採用の課題は解決できません。

私たちの採用ブランディングプログラムと、採用クリエイティブの課題解決を比較したところ、以下の画像のような結果になりました。

採用ブランディング

上記のように、採用クリエイティブだけでは、効果が出る部分に偏りがあり、根本的な採用の課題は解決できないと言えます。

しかし、多くの企業は「映像でカッコよく採用ブランディングを進めていきましょう!」と言われると「確かにかっこいい映像は大事かもしれない……」と考えてしまいます。

ただ、考えてみてください。

数百万以上かけて採用ブランディング動画を作って、どれだけの課題が解決できるでしょうか?上記の画像のように、解決できる部分もあれば、解決できない部分もあるのです。

採用クリエイティブ全般に言えますが、いずれもフォローについては何の効力もありません。つまり、見え方を揃えているだけに過ぎないのです。

 

私たちの採用クリエイティブに対する考え方

私たちの採用クリエイティブに対する考え方

先述したように、採用クリエイティブだけでは採用の課題を完全に解決することはできません。実際に制作物を希望する企業もいますが、私たちは「今、見え方を揃えることが貴社の採用課題を解決する上で、大事ですか?」とまず伺っています。

しかし、私たちも、クリエイティブが重要ではないと言っているわけでは決してありません。HP制作やパンフレット制作も行います。

ただ、採用クリエイティブを制作する上で重要なのは「なぜ今、クリエイティブが必要なのか?」という点です。私たちは、採用の効率化のためと話しています。

応募者が来たとき、本来ならば、一人ひとり説明しなければいけないところをHPやパンフレットを作って、見てもらったり、応募者が自社に共感してもらいやすくしたりするために制作しています。

そして、これらは採用ブランディングが根本にあるからこそ効果を発揮するものだと考えています。多くの採用ブランディングは、戦術レベルで論じられている場合が多いですが、本来は採用ブランディング(=戦略)あっての戦術です。

HPも映像も作るのは構いません。しかし、採用活動のおいて、解決できる課題は一部分です。採用ブランディングプログラムを行った上で、クリエイティブを制作した方が、確実に効果は上がります。

 

採用ブランディング動画よりもパンフレット

私たちの採用ブランディングでは、動画よりもパンフレットの制作を勧めています。昨今はパンフレットを制作しない企業が増えていますが、動画よりもコストパフォーマンスに優れているからです。

動画制作は費用がかかる上に、深い情報も入れられません。さらに、1本の動画コンテンツでは効果が低いので、継続的に動画を制作してアップしていかなければ効果が上がりません。つまり、効果をあげようとすれば、それだけ予算が必要であるということです。

対してパンフレットは、深い情報も入れやすく、内定承諾までの効果に繋がります。さらに、従業員にも配布することで、改めて自社の考え方を知ることもでき、インナーブランディングとしての効果にも期待できるでしょう。

これらのことから、パンフレットは非常にコストパフォーマンスの良いクリエイティブと考えています。

もちろん、動画制作自体を否定しているわけではありませんが、継続的に1本あたり数十万~数百万の費用をかけられる会社でなければ、動画で効果を得るのは難しいのです。

 

採用ブランディングの本質を見失ってはいけない

用ブランディングの本質を見失ってはいけない

企業の規模や業種によっては、動画が向いているケースもあるでしょう。

しかし、企業の多くは、動画制作会社に勧められるまま動画を制作してしまったり、「なんとなく流行りだから」や「かっこいい映像が欲しいから」などといったりする理由で動画を作成してしまいます。

ただ、改めて考えてみてください。

その動画は、自社の採用の課題をどのように解決しますか?

採用の課題を解決するために、あれをやろうこれをやろうと考えて、結果的にプロモーションのようなものになってしまっては意味がありません。

本当に採用の課題を解決するために、ぜひ改めて何をするべきなのかを考えてみてください。

  

    

 

深澤 了 Ryo Fukasawa
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター

2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。2015年早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン、フランスで5度金賞受賞。制作者としての実績はFCC(福岡コピーライターズクラブ)賞、日本BtoB広告賞金賞、山梨広告賞協会賞など。雑誌・書籍掲載、連載多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても”光る人材”が集まる 採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。

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